法定相続情報証明制度ってどんな制度?

法律のこと

法定相続情報証明制度ってなに??と、

たまたま何人かから聞かれたので書いて残しておこうかと。
・・・何のブログなんだろう。ここは。

しかも、自力で相続しない人にはほぼ用がないと思われる記事。
需要はあるのか(汗)

まぁ自分の記憶への定着も兼ねて
とりあえず書いてみよう!

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法定相続情報証明制度って?

昨年…じゃないや。もう一昨年だ。
平成29年の5月から施行された新制度です。

法務局に法定相続人に関する情報を一覧図にした
「法定相続情報一覧図」の保管を申し出ることにより、
以後5年間、無料で法務局の証明がある法定相続情報一覧図の写し(法定相続情報証明)の交付を
受けることができるようになる制度です。

なぜこの制度ができたの?

土地の名義変更には期限や罰則が無いんです。
そのため、長期間に渡り名義変更(相続登記)がされず、
所有者不明の状態で放置されている土地が実は結構あります。
明治時代に家督相続で相続したひいおじいさんから相続手続きをしていないとか。

最後の登記から90年以上
経過しているもの
最後の登記から70年以上
経過しているもの
最後の登記から50年以上
経過しているもの
大都市
(所有権の個数:24,360個)
0.4% 1.1% 6.6%
中小都市・中山間地域
(同上:93,986個)
7.0% 12.0% 26.6%

※法務省の相続登記未了土地調査結果より

しかも相続登記にも前述の戸籍の一覧などが必要になりますから、
手間やコストを考えて名義変更(相続登記)をせずついつい放置してしまうんでしょうね。

あとあと更に面倒になっちゃうんですけどね!(汗)
だって基本的に、相続人は代を追うごとに増えていきますから。

売ろうと思ったら、登記がひいおじいさんのままで、相続人全員の印鑑が必要で
調べてみたら相続人が孫やひ孫の代になってて、25人以上いて、消息不明の人もいて…
結局売るのをあきらめた…なんてケースも。

これが登記名義がひいひいおじいさんだったら?ひいひいひいおじいさんだったら?

さあ、相続人は何人でしょう?

・・・・怖すぎる((((;゚Д゚))))

こんな事態を解消するために平成29年5月29日から法務省が始めた制度が
法定相続情報証明制度」です。

登記の名義変更を促す代わりに、登記申請に出してくれた書類の内容を証明して、
相続に使える書類を出すよ!
って感じでしょうか。

・・・いや、実際はそんな軽いノリではないとは思いますが。

今まではどうだったの?

亡くなられた方が複数の金融機関で口座を持っていたり、保険会社と契約をしていたり、
土地を所有していた場合には、複数の相続手続きを行う必要があります。

この相続手続きに必要なのが戸籍謄本。
この、戸籍謄本を集めること自体、地味に時間も手間も、コストもかかるんです。コレ。

他に相続人がいないことを確認するためのものなので、
亡くなられた方(被相続人)の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本
相続する方(相続人)全員の生まれてから今までの戸籍謄本が必要になります。

被相続人も、相続人もずっと同じ所に住んでいて戸籍を移していない場合は
一つの市町村から取り寄せれば済みますが、
結婚や仕事の都合などで一度遠方に戸籍を移していて、諸事情で戻ってきていたり、
また他の場所に戸籍が移っていたりする場合などは
それぞれの市町村に、郵送で取り寄せもしくは市町村に行って申請が必要になります。

で、その戸籍謄本の束が被相続人の分と、相続人の人数分必要なわけです。

さらに、相続手続きを短時間ですませたい場合には
有料の戸籍謄本をたくさん準備する必要がありました。

まぁ大変。
法定相続情報証明制度

一式だけ準備して順番に手続きをしていくことも可能です。

が。
法定相続情報証明制度
こんな感じで提出にいったり返却書類を受け取りにいったりで
とにかく手間と時間がかかってしまうのが難点。

今まではコストをかけるか、時間と手間をかけるかの二択でした。

法定相続情報証明制度を使うとどうなるの?

戸籍謄本一式の代わりに1枚提出するだけで済む

この制度を利用すると被相続人と相続人の戸籍謄本の内容を一枚にまとめた
「法定相続情報一覧図の写し」
が発行されます。
法定相続情報証明制度
相続手続きの時に戸籍謄本一式の代わりにこの「法定相続情報一覧図の写し」を
1枚準備するだけでオッケーに。
相続の際の不動産の名義変更だけでなく、金融機関での預金の払い戻しや名義変更、
車の名義変更などにも利用できます。

金銭的負担が軽減できる

「法定相続情報証明制度」で発行される「法定相続情報一覧図の写し」は
無料なので、何枚準備しても金銭的な負担がかかりません。

相続手続きを時間短縮できる

戸籍謄本一式の代わりに使用できる「法定相続情報一覧図の写し」を必要な枚数用意しておけば、
返却を待つことなく複数機関での手続きを同時に進めることができ、相続手続の時間短縮ができます。

相続財産に不動産がない場合も制度の利用ができる

「法定相続情報証明制度」がスタートした主の目的が不動産の名義変更(相続登記)の促進、
ということは、相続財産に不動産がないと駄目なの?と思いがちですが、
相続する財産に不動産がない場合でも、法定相続情報証明制度の利用は可能です。

「法定相続情報証明制度」利用する上での注意点4つ

  1. 現在はすべての金融機関で使えるわけではない
    「法定相続情報証明制度」はまだ始まって一年ちょっとの制度のため、
    残念ながら制度を利用した相続手続きができるのは全国の登記所(法務局)と
    一部の大手金融機関となっています。
    しかも、使えるかどうかは各金融機関の判断に任されているため、
    現時点では利用できるかどうか事前確認が必要です。
  2. 亡くなられた方と相続人が日本国籍を有していないと利用できない
    「法定相続情報証明制度」の申出を行う際に戸籍謄本等の提出が必要なので、
    亡くなられた方や相続人が全員日本国籍を有していない場合は、この制度は利用できません。
  3. 「法定相続情報一覧図の写し」だけでは名義変更はできない
    「法定相続情報一覧図の写し」は、戸籍謄本一式の代わりとなるものなので、
    これだけあれば他の書類がすべて不要になるものではありません。
    手続きを行うための申請書や、遺産の分割内容が記載されている遺産分割協議書などは
    今まで通り必要となります。
  4. 相続税申告書の添付資料にはまだ利用できない
    相続税の申告時にも、戸籍謄本一式を添付する必要があるんですが、
    今のところ、従来通りの戸籍謄本一式が必要であり、「法定相続情報一覧図の写し」を
    利用することができません。

長くなってしまったので、「法定相続情報証明制度」を利用するための手順については次の記事で。

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